2026年版・1-1

総則・労働契約の基本原則の一問一答

社会保険労務士(社労士)「労働基準法・労働安全衛生法」から、総則・労働契約の基本原則に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問11-1

労働基準法第1条が定める労働条件の原則に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①この法律で定める労働条件の基準は最低のものであり、労働関係の当事者はその向上を図るように努めなければならない。
  • ②この法律で定める労働条件の基準は標準的な水準を示すものであり、これを下回る合意も当然に有効であるとされている。
  • ③この法律で定める労働条件の基準は努力目標にとどまるものであり、これに反しても行政上の是正の対象とはならない。
  • ④この法律で定める労働条件の基準は最高の水準を示すものであり、労使の合意があっても上回ることは許されない。
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正解 ①この法律で定める労働条件の基準は最低のものであり、労働関係の当事者はその向上を図るように努めなければならない。
解説
労働基準法第1条は、同法が定める労働条件の基準を「最低のもの」と位置づけており、使用者はもちろん労働者もこれを理由として労働条件を低下させてはならず、その向上に努める義務があるとしています。この規定は、労働基準法が労働条件の下限を画する法律であることを明確にする、法全体の基本理念を示す条文です。

他の選択肢が誤りの理由
②は誤りです。基準はあくまで最低限のものであり、これを下回る合意は同法により無効となるため、標準的な水準として下回ってよいとする点が誤っています。③は誤りです。労働基準法の基準は単なる努力目標ではなく、罰則や是正勧告を伴う強行的な最低基準です。④は誤りです。同条が定めるのは最低基準であって最高基準ではなく、労使の合意によりこれを上回る労働条件を定めることは何ら妨げられません。
問21-1

労働基準法第2条が定める労働条件の決定に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①労働基準法第2条第1項の規定によれば、労働条件は、労働者と使用者とが対等の立場において決定すべきものとされている。
  • ②労働条件は、使用者が経営上の必要に応じて一方的に決定すべきものとされ、労働者の意向を考慮する必要はないとされている。
  • ③労働基準法第2条第2項によれば、労働者及び使用者は、労働協約を遵守し、誠実にその義務を履行しなければならないとされている。
  • ④労働基準法第2条第2項によれば、労働者及び使用者は、就業規則を遵守し、誠実にその義務を履行しなければならない。
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正解 ②労働条件は、使用者が経営上の必要に応じて一方的に決定すべきものとされ、労働者の意向を考慮する必要はないとされている。
解説
労働基準法第2条第1項は、労働条件は労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものと定めており、使用者が一方的に決定してよいとする考え方はこの規定の趣旨に反します。労働契約は本来、経済的に優位に立ちやすい使用者と労働者との実質的な対等性を確保するための規定であり、労働者の意向を無視した一方的決定は認められません。

他の選択肢が正しい理由
①は正しい内容です。同条第1項の定める労使対等決定の原則をそのまま説明しています。③は正しい内容です。同条第2項は、労働者及び使用者双方に労働協約を遵守し誠実に義務を履行することを求めています。④は正しい内容です。同項は就業規則についても同様に、労使双方に遵守と誠実な履行を求めています。
問31-1

労働基準法第3条が定める均等待遇に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①労働基準法第3条によれば、使用者は、労働者の国籍を理由として、賃金その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならない。
  • ②労働基準法第3条の規定によれば、使用者は、労働者の信条を理由として、賃金その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならない。
  • ③使用者は、労働者の性別を理由として、賃金その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならないと、この条文に明記されている。
  • ④同条によれば、使用者は、労働者の社会的身分を理由として、賃金その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならないとされる。
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正解 ③使用者は、労働者の性別を理由として、賃金その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならないと、この条文に明記されている。
解説
労働基準法第3条が差別的取扱いを禁止する事由として明記しているのは国籍、信条、社会的身分の3つであり、性別はこの条文には含まれていません。性別を理由とする賃金差別は同法第4条が別途規律しており、それ以外の性別を理由とする取扱いについては雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律が規律しています。

他の選択肢が正しい理由
①は正しい内容です。国籍を理由とする差別的取扱いの禁止は同条に明記された事由の一つです。②は正しい内容です。信条を理由とする差別的取扱いの禁止も同条に明記された事由です。④は正しい内容です。社会的身分を理由とする差別的取扱いの禁止も同条に明記された事由です。
問41-1

労働基準法第4条が定める男女同一賃金の原則に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①使用者は、労働者が女性であることを理由として、労働時間について男性と差別的取扱いをしてはならないと定めている。
  • ②使用者は、労働者が女性であることを理由として、配置や昇進について男性と差別的取扱いをしてはならないとする。
  • ③使用者は、労働者が女性であることを理由として、福利厚生について男性と差別的取扱いをしてはならないと定めている。
  • ④使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをしてはならないと定めている。
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正解 ④使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをしてはならないと定めている。
解説
労働基準法第4条は、使用者が労働者の性別を理由として賃金について男性と差別的取扱いをすることを禁止しています。この条文は「賃金」に限定して男女の差別的取扱いを禁じる規定であり、賃金以外の労働条件についての性別による差別は、主に男女雇用機会均等法によって規律されています。

他の選択肢が誤りの理由
①は誤りです。労働時間についての性別による差別的取扱いは同条の直接の規律対象ではありません。②は誤りです。配置や昇進についての性別による差別的取扱いを直接禁止しているのは同条ではなく男女雇用機会均等法です。③は誤りです。福利厚生についての性別による差別的取扱いも同条が直接規律する対象ではありません。
問51-1

労働基準法第5条が定める強制労働の禁止に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
  • ②使用者は、労働契約の不履行について違約金を定めることは法律上常に認められており、実損害額を超える賠償額の予定も禁止されていない。
  • ③使用者は、労働者から自由な意思による退職の申し出があっても、後任者が決まるまでの間は労働を継続させることができるとされている。
  • ④使用者は、労働者との間に合意があれば、精神又は身体の自由を不当に拘束する手段を用いて労働をさせることができるとされている。
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正解 ①使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
解説
労働基準法第5条は、労働者の人身の自由を保護するため、暴行・脅迫・監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段による強制労働を明確に禁止しています。この規定は労働者の基本的人権に直結する重要な規定であり、同法の中でも特に重い罰則が科される違反類型の一つとされています。

他の選択肢が誤りの理由
②は誤りです。違約金の予定は同法第16条により禁止されており、実損害額を超える賠償額をあらかじめ定めることも認められません。③は誤りです。労働者が自由な意思で退職を申し出た以上、後任者の有無にかかわらずこれを不当に引き止めることは許されません。④は誤りです。労働者本人の合意があっても、精神又は身体の自由を不当に拘束する手段による労働の強制は許されません。
問61-1

労働基準法第6条が定める中間搾取の排除に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①労働基準法第6条によれば、何人も、法律に基づいて許される場合のほかは、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。
  • ②職業安定法に基づき厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介事業者であっても、この条文による規制の適用は一切免除されない。
  • ③同条の趣旨からすれば、他人の就業に介入して不当に利益を得る、いわゆる中間搾取を排除する趣旨で設けられている規定である。
  • ④同条によれば、労働者供給事業についても、法律に基づいて許される場合を除き、業として介入し利益を得ることは禁止される。
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正解 ②職業安定法に基づき厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介事業者であっても、この条文による規制の適用は一切免除されない。
解説
労働基準法第6条は「法律に基づいて許される場合のほかは」他人の就業に介入して利益を得てはならないと定めており、職業安定法など他の法律に基づいて許可を受けた事業(有料職業紹介事業など)は、この条文の規制の対象外となります。したがって、適法な許可を受けた事業者にまで一律に規制が及ぶわけではありません。

他の選択肢が正しい理由
①は正しい内容です。同条は「法律に基づいて許される場合のほかは」という留保を付した上で、業として他人の就業に介入して利益を得ることを禁止しています。③は正しい内容です。同条の趣旨は、第三者が不当に他人の就業に介入して利益を搾取することを排除する点にあります。④は正しい内容です。労働者供給事業も、法律に基づく許容がない限り同条の禁止の対象となります。
問71-1

労働基準法第7条が定める公民権行使の保障に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①使用者は、労働者が選挙権を行使するために必要な時間を請求した場合には、これを拒否することができる。
  • ②使用者は、労働者が公民権の行使に必要な時間を請求した場合であっても、時刻の変更は一切認められない。
  • ③使用者は、労働者が請求した権利行使の時刻を、その権利の行使を妨げない限りにおいて変更することができる。
  • ④使用者は、労働者が公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合であっても、これを拒否することができる。
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正解 ③使用者は、労働者が請求した権利行使の時刻を、その権利の行使を妨げない限りにおいて変更することができる。
解説
労働基準法第7条は、労働者が労働時間中に選挙権の行使その他公民としての権利の行使や公の職務の執行に必要な時間を請求した場合、使用者はこれを拒んではならないと定めています。ただし、権利の行使を妨げない範囲であれば、請求された時刻を変更することは認められています。

他の選択肢が誤りの理由
①は誤りです。選挙権の行使に必要な時間の請求を使用者が拒否することはできません。②は誤りです。時刻の変更自体は、権利の行使を妨げない限度で認められており、一切認められないとする点が誤っています。④は誤りです。公の職務の執行に必要な時間の請求についても、選挙権の行使と同様に拒否することはできません。
問81-1

労働基準法第9条が定める「労働者」の定義に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①この法律で「労働者」とは、正社員として期間の定めのない労働契約を締結した者のみをいうものと解されている。
  • ②この法律で「労働者」とは、株式会社の取締役として登記された者を含め、事業に使用される者すべてをいう。
  • ③この法律で「労働者」とは、家事使用人を含め、職業の種類を問わず事業に使用される者をいうものと解されている。
  • ④この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
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正解 ④この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
解説
労働基準法第9条は「労働者」を、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で賃金を支払われる者と定義しています。正社員か否か、雇用形態の名称の如何を問わず、使用され賃金を支払われる実態があれば同法上の労働者に該当します。

他の選択肢が誤りの理由
①は誤りです。同条の定義には雇用形態や契約期間の定めの有無に関する限定はなく、パートタイム労働者や有期契約労働者も労働者に含まれます。②は誤りです。取締役は会社との関係が委任関係であるのが原則であり、使用人としての実態を伴わない限り当然に労働者に含まれるわけではありません。③は誤りです。同法第116条により、同居の親族のみを使用する事業とあわせて、家事使用人については同法の適用が除外されています。
問91-1

労働基準法第11条が定める「賃金」の定義に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①この法律で「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
  • ②この法律で「賃金」とは、基本給及び諸手当のみをいい、賞与や退職手当は労働基準法上いかなる場合であっても賃金に該当しない。
  • ③この法律で「賃金」とは、労働契約書に「賃金」という名称で明記された支払のみをいい、これと異なる名称のものは対象外である。
  • ④法律上、この法律で「賃金」とは、時間外労働や休日労働に対して支払われる割増賃金のみをいい、所定労働時間分の通常の賃金は含まれない。
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正解 ①この法律で「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
解説
労働基準法第11条は「賃金」を、名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものと定義しています。支給条件があらかじめ明確にされている賞与や退職手当も、労働の対償としての性格を持つ限り同条の賃金に含まれます。

他の選択肢が誤りの理由
②は誤りです。支給条件が就業規則や労働協約であらかじめ明確にされている賞与や退職手当も賃金に含まれ得ます。③は誤りです。同条の定義は支払の名称を問わないとしており、「賃金」という名称の有無で判断するものではありません。④は誤りです。賃金は割増賃金に限られず、所定労働時間分の通常の賃金も当然に賃金に含まれます。
問101-1

労働基準法第13条が定めるこの法律違反の契約に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分についてのみ無効となる。
  • ②この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分も含めて労働契約全体が無効となる。
  • ③無効となった部分については、この法律で定める基準がそのまま労働契約の内容として適用されることになる。
  • ④この規定は、労働条件の最低基準を強行的に労働契約の内容とする効力を持つものであるとされている。
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正解 ②この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分も含めて労働契約全体が無効となる。
解説
労働基準法第13条は、この法律の定める基準に達しない労働条件を定める労働契約について、その部分のみを無効とする一部無効の効力を定めています。契約全体が無効になるわけではなく、無効となった部分を除いた契約内容は引き続き有効です。

他の選択肢が正しい理由
①は正しい内容です。同条が定めるのはあくまで基準に達しない「部分」の無効であり、契約全体の無効ではありません。③は正しい内容です。無効となった部分については、同法で定める基準がそのまま契約内容となります。④は正しい内容です。同条は、労働条件の最低基準を労働契約の内容として強行的に組み入れる効力(強行的直律的効力)を持つ規定です。

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