2026年版・2-2

業務災害の認定の一問一答

社会保険労務士(社労士)「労災保険法」から、業務災害の認定に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問12-2

労災保険法上の業務災害の意義に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①業務災害とは、労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡をいうものとされている。
  • ②業務災害に該当するかどうかは、業務遂行性と業務起因性の両面から検討される。
  • ③業務災害に該当するためには、労働者の故意による負傷であることが必要とされる。
  • ④業務災害の認定は、個別の災害ごとに具体的な状況を踏まえて判断されるものとされている。
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正解 ③業務災害に該当するためには、労働者の故意による負傷であることが必要とされる。
解説
業務災害は、労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡をいい、その認定は業務遂行性(事業主の支配下にあること)と業務起因性(業務に伴う危険が現実化したこと)の観点から行われます。むしろ労働者が故意に負傷等を生じさせた場合には、保険給付が行われない給付制限の対象となるのであって、故意による負傷であることが業務災害の要件になるわけではありません。

他の選択肢が正しい理由
①は正しく、業務災害の定義を正確に説明しています。②は正しく、業務遂行性・業務起因性の両面から検討するという実務上の考え方を正しく説明しています。④は正しく、業務災害の認定は個々の事案の具体的事情に即して行われます。
問22-2

業務遂行性と業務起因性の関係に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①業務遂行性とは、労働者が事業主の支配下にある状態で業務に従事していることをいう。
  • ②業務起因性とは、業務に伴う危険が現実化したものと経験則上認められることをいう。
  • ③業務遂行性が認められる場合には、業務起因性が推定されやすい傾向があるとされる。
  • ④業務遂行性が認められれば、業務起因性の有無を問わず当然に業務災害と認定される。
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正解 ④業務遂行性が認められれば、業務起因性の有無を問わず当然に業務災害と認定される。
解説
業務災害の認定においては、業務遂行性と業務起因性の両方が必要とされています。業務遂行性はいわば前提条件であり、その上で当該負傷等が業務に内在する危険の現実化と評価できるかという業務起因性の判断が別途必要です。業務遂行性さえあれば業務起因性を問わず業務災害となるわけではありません。

他の選択肢が正しい理由
①は正しく、業務遂行性の定義を正確に説明しています。②は正しく、業務起因性の定義を正確に説明しています。③は正しく、事業主の支配管理下で業務に従事している場合は、業務起因性が事実上推定されやすい傾向にあるという実務上の理解を正しく述べています。
問32-2

事業主の支配下・管理下で本来の業務に従事している最中に生じた災害に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①特段の事情がない限り、業務遂行性・業務起因性がともに認められ、業務災害と認定されるのが原則とされる。
  • ②業務に従事している最中であっても、業務災害と認定されるためには労働者側の無過失が必要であるとされる。
  • ③業務に従事している最中の災害は、事業主が故意又は過失を有する場合に限り業務災害と認定される。
  • ④業務に従事している最中の災害であっても、業務災害の認定には別途本人の申請と承認が必要とされる。
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正解 ①特段の事情がない限り、業務遂行性・業務起因性がともに認められ、業務災害と認定されるのが原則とされる。
解説
事業主の支配下かつ管理下にあり、本来の業務に現に従事している最中に生じた災害は、業務遂行性が明確であるうえ、業務に伴う危険が現実化したものと通常評価できるため、特段の事情がない限り業務起因性も認められ、業務災害と認定されるのが原則です。最も典型的な業務災害の類型といえます。

他の選択肢が誤りの理由
②は誤りで、業務災害の認定に労働者側の無過失は要件とされていません。③は誤りで、事業主の故意・過失(民事上の帰責事由)は業務災害の認定要件ではなく、労災保険は無過失責任的な考え方に立っています。④は誤りで、本人の申請は保険給付を受けるための手続であり、業務災害の認定要件そのものではありません。
問42-2

休憩時間中に事業場内で発生した私的な行為による負傷に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①休憩時間中は事業主の管理下にはないため、事業場内での負傷であっても業務災害とはならない。
  • ②休憩時間中に労働者の私的な行為が原因で発生した負傷は、原則として業務災害とは認められない。
  • ③休憩時間中の負傷は、事業場内で生じたものである限り、私的行為が原因であっても常に業務災害となる。
  • ④休憩時間中の負傷は、休憩終了後30分以内に発生したものに限り業務災害として取り扱われる。
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正解 ②休憩時間中に労働者の私的な行為が原因で発生した負傷は、原則として業務災害とは認められない。
解説
休憩時間中であっても、労働者が事業場内にいる限り事業主の施設管理下にはありますが、業務そのものには従事していません。この時間帯に労働者の私的な行為(私語でのふざけ合いなど業務と無関係な行為)が原因で負傷した場合は、業務起因性が認められず、原則として業務災害とはなりません。

他の選択肢が誤りの理由
①は誤りで、休憩時間中も事業場内にいる限り施設管理下にはあり、施設の欠陥等が原因の災害は業務災害となり得ます。③は誤りで、私的行為が原因である以上、事業場内であっても常に業務災害となるわけではありません。④は誤りで、休憩終了後の経過時間によって一律に判断されるものではありません。
問52-2

出張中に発生した災害の業務災害としての取扱いに関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①出張中の災害は、移動中に発生したものに限り業務災害となり、出張先での業務は対象とならないとされる。
  • ②出張中の災害は、宿泊施設内で発生したものを除き、一律に業務災害から除外される取扱いとなっている。
  • ③出張の全過程について、特段の事情がない限り事業主の支配下にあるものとして包括的に業務行為と扱われる。
  • ④出張中の災害が業務災害となるためには、あらかじめ出張命令書に個々の行動予定を記載しておく必要があるとされる。
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正解 ③出張の全過程について、特段の事情がない限り事業主の支配下にあるものとして包括的に業務行為と扱われる。
解説
出張は事業主の命令に基づき、通常の勤務場所を離れて用務を果たすものであり、移動、宿泊、食事等の日常生活行為も含めて、出張の過程全体が事業主の支配下にあるものとして包括的に業務行為とみなされます。そのため、積極的な私的行為や恣意的行為がない限り、出張中に生じた災害は業務災害と認定されやすい傾向にあります。

他の選択肢が誤りの理由
②は誤りで、宿泊施設内かどうかで一律に区別する取扱いではありません。①は誤りで、移動中に限らず出張先での用務中の災害も業務災害の対象です。④は誤りで、個々の行動予定を出張命令書に記載することは業務災害認定の要件ではありません。
問62-2

複数業務要因災害に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①複数事業労働者について、いずれか一方の事業のみの業務上の負荷では労災認定の基準に至らない場合に問題となる。
  • ②複数事業労働者の就業先の業務上の負荷を総合的に評価して、労災認定の可否を判断する仕組みである。
  • ③複数業務要因災害の制度は、複数の事業場で働く労働者の増加等を、背景として導入された制度である。
  • ④複数業務要因災害として労災認定された場合の給付基礎日額は、いずれか高い方の事業の賃金のみを基礎に算定する。
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正解 ④複数業務要因災害として労災認定された場合の給付基礎日額は、いずれか高い方の事業の賃金のみを基礎に算定する。
解説
複数業務要因災害として労災認定された場合、給付基礎日額はいずれか一方の事業の賃金のみで算定されるのではなく、労働者が就業していた全ての事業の賃金額を合算して算定されます。複数就業により実際に得ていた収入の実態をふまえた保護を図る趣旨です。

他の選択肢が正しい理由
①は正しく、単独の事業の負荷では基準に至らない場合に総合評価の対象となります。②は正しく、複数の就業先の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定の可否を判断する制度です。③は正しく、複数の事業場で働く労働者(複数事業労働者)の増加という社会情勢を背景に導入されました。
問72-2

脳血管疾患及び虚血性心疾患等(いわゆる過労死等)の労災認定基準に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①発症前1か月に100時間、又は2〜6か月平均で80時間を超える時間外労働があれば、業務関連性が強いと評価される。
  • ②発症前1週間の時間外労働時間数のみに着目して判断され、それ以前の期間における労働時間の状況は考慮されないと解されている。
  • ③時間外労働時間数が基準に至らない場合は、労働時間以外の負荷要因を考慮する余地はなく直ちに業務外と判断される。
  • ④認定基準の対象となるのは脳血管疾患のみに限られているため、虚血性心疾患等はこの認定基準の対象外とされている。
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正解 ①発症前1か月に100時間、又は2〜6か月平均で80時間を超える時間外労働があれば、業務関連性が強いと評価される。
解説
脳・心臓疾患の労災認定基準では、発症前1か月間におおむね100時間、又は発症前2か月間から6か月間にわたって1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合、業務と発症との関連性が強いと評価されます。令和3年の改正では、これに至らない場合でも労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮する取扱いが明確化されました。

他の選択肢が誤りの理由
②は誤りで、発症前1週間のみでなく、より長期間の労働時間の状況が総合的に考慮されます。③は誤りで、基準時間に至らない場合であっても、労働時間以外の負荷要因を考慮して関連性が判断されることがあります。④は誤りで、この認定基準は脳血管疾患と虚血性心疾患等の双方を対象としています。
問82-2

精神障害の労災認定基準に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①精神障害の労災認定においては、業務による心理的負荷の強度は考慮されず、発病の事実のみで判断される。
  • ②業務による強い心理的負荷が認められる出来事があったかどうかを、心理的負荷の強度評価表等を用いて判断する。
  • ③精神障害は労働者の主観的な感じ方のみに委ねられる問題であるため、労災保険による認定基準は設けられていない。
  • ④精神障害が労災と認定されるためには、業務外の要因が発病に一切関与していないことが必要とされる。
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正解 ②業務による強い心理的負荷が認められる出来事があったかどうかを、心理的負荷の強度評価表等を用いて判断する。
解説
精神障害の労災認定では、対象となる精神障害の発病が認められること、発病前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること、業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないことなどを、具体的な出来事ごとの心理的負荷の強度評価表を用いて総合的に判断します。

他の選択肢が誤りの理由
①は誤りで、心理的負荷の強度は認定の中心的な判断要素であり、考慮されないということはありません。③は誤りで、精神障害についても具体的な認定基準が定められています。④は誤りで、業務以外の要因が全く関与していないことまでは要件とされておらず、業務による心理的負荷が発病の原因として認められるかどうかが中心的な判断となります。
問92-2

天災地変により労働者が被災した場合の業務災害の認定に関する記述として、正しいものはどれか。

  • ①天災地変による災害は事業とは無関係な自然現象であるため、いかなる場合であっても業務災害とは認められない。
  • ②天災地変による災害は、労働者が屋外作業に従事していた場合に限り、常に業務災害として扱われる。
  • ③事業場の立地条件や作業条件により天災地変の危険が増大していたと認められる場合は、業務災害となり得る。
  • ④天災地変による災害であっても、政府が特別な政令を制定した場合にのみ例外的に業務災害として扱われる。
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正解 ③事業場の立地条件や作業条件により天災地変の危険が増大していたと認められる場合は、業務災害となり得る。
解説
天災地変による災害は、本来事業とは無関係に生じる自然現象であるため、原則として業務起因性が認められず業務外とされます。もっとも、事業場の立地条件、作業条件又は作業環境等により、天災地変に際して被災する危険性が通常よりも高まっていたと認められる場合には、その危険が現実化したものとして例外的に業務災害と認定されることがあります。

他の選択肢が誤りの理由
②は誤りで、常に業務外となるわけではなく、事業に内在する危険が影響したと評価できる場合は業務災害となります。①は誤りで、屋外作業かどうかのみで一律に判断される取扱いではありません。④は誤りで、個別の政令の制定を要件とするものではなく、業務起因性の判断によって決まります。
問102-2

事業場の施設や設備の欠陥が原因で労働者が負傷した場合の業務災害の認定に関する記述として、誤っているものはどれか。

  • ①事業主の支配管理下にある施設・設備の欠陥に起因する災害は、業務災害と認定されやすい傾向にあるものと解されている。
  • ②施設・設備の管理は事業主の責任事項であり、瑕疵に起因する災害は内在する危険の現実化と評価されやすい。
  • ③休憩時間中であっても、事業場内にある施設の欠陥によって負傷した場合には、業務災害となるとされている。
  • ④施設・設備の欠陥による災害は、労働者本人に何らかの過失があれば、その一事をもって業務災害と認定されないとされる。
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正解 ④施設・設備の欠陥による災害は、労働者本人に何らかの過失があれば、その一事をもって業務災害と認定されないとされる。
解説
労災保険は労働者の過失の有無を問わず保護を図る制度であり、労働者に何らかの過失があったというだけで業務災害の認定が否定されるものではありません。事業主の支配管理下にある施設・設備の欠陥が原因である以上、業務に内在する危険が現実化したものと評価され、業務災害と認定されるのが原則です。

他の選択肢が正しい理由
①は正しく、事業主の支配管理下にある施設の欠陥に起因する災害は業務災害と認定されやすい傾向にあります。②は正しく、施設・設備の管理は事業主の責任事項であるという考え方を正確に説明しています。③は正しく、休憩時間中であっても事業場内の施設の欠陥による負傷は業務災害となり得ます。

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